東京の木・森のしごと

3-4 森林のはたらき

木材生産

森林は木材を生産する場として、昔から私たちのくらしをささえ、ゆたかにしてきました。

伐られた丸太が、林道脇に一定の長さに切断され、積まれた様子

災害さいがいをふせぐ

森林は、地面が落ち葉や草でおおわれているため、直せつ、雨が土をけずったり、土が流れ出るのをふせいでいます。また、木の根がはりめぐらされて、しっかりと土をつかんでいるため、山くずれなどもおきにくくなります。

手入れが行き届いた森林がある山では、木の枝葉や根元の草等が雨を跳ね返し、根が土を掴んでいますが、土がむき出しの山では、雨が直接土に当たるため、土砂が流れだしたり川が溢れやすくなります。

  • 手入れがいきとどいた森林が
    ある山
  • 土がむき出しになっている山

森林の土の粒の間には隙間が多いため、雨水をしみこませることができます。

水をたくわえる/洪水こうずいをふせぐ

森林の土の中には生き物がいます。落ち葉などを食べて、土にすきまを作ります。この土が、スポンジのように雨水をしみこませて、たくわえます。
土の中の雨水はゆっくりと下がっていき、地下水となって、少しずつ川に流れ出します。そのため、森林は、洪水をふせぐ働きもしています。

水をきれいにする

雨水は、森の土の中で、岩や石の間を通るため、ミネラルがふえて、おいしい水になります。

森林に降った雨水は、土にしみこむときにろ過されて、きれいになってゆきます。

木の光合成イメージ

酸素さんそをつくる

地球温暖化(ちきゅうおんだんか)とは、地球をおおう温室効果(おんしつこうか)ガスがあたたかくなりすぎて、気温が上がってしまうことです。これが進むと自然のバランスがくずれます。このガスの中で一番多いのが人間の生活から出る二酸化炭素(にさんかたんそ)です。

木は、光合成で二酸化炭素をすって酸素を出すため、森を育てることは、地球温暖化をふせぐことにつながります。

生き物たちのすみか

森にはいろいろな植物がしげっています。動物たちに食べ物や、ねむる場所、敵(てき)から身をかくす場所をあたえて、住みやすくしています。

森では、いろいろな生き物が木の穴や枝に巣を作り、根本の草に身を隠したり、エサをみつけてくらしています。

木漏れ日が溢れる、森とせせらぎの風景

みんなのいこいの場

キャンプや山登り、森林浴(しんりんよく)など、いろいろな楽しみ方があります。

森林のはたらきを保つ保安林ほあんりん


森林は木を育てるほかに、水をゆたかにする、山くずれをふせぐなどの働きを持っています。私たちのくらしを守るために大切な、これらの働きを保つために、保安林というしくみがあります。

保安林では、一度にたくさんの木を伐(き)らないこと、木を伐ったときには苗木(なえぎ)を植えることを決めています。山くずれなどの災害が発生したときには、治山(ちさん)工事をして、森林の働きを取りもどすことも行われています。

土がむき出しになった山の斜面の写真

治山工事を行う前の森林

緑化された山の斜面の写真

治山工事を行った森林


水を育む森を守る ~東京都の水道水源林すいどうすいげんりん


豊かな森林に囲まれて、たっぷりと水をたたえる小河内ダムの写真小河内ダムと山梨県方面に広がる水道水源林

多摩川の上流域(じょうりゅういき)は、東京都の貴重な水源の一つです。そこには、約23,000ha(山の手線内側の約3.5倍)の水道水源林が、東京都奥多摩町(おくたままち)から山梨県(やまなしけん)にかけて広がっています。

東京都水道局は、100年以上も前から“水を育む森の働き”を発揮(はっき)させるために、必要な手入れを行い、水道水源林を守り続けています。


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