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東京の森林災害と取組事例
治山(ちさん)事業は、森林を良好(りょうこう)な状態(じょうたい)に維持(いじ)し、森林が荒廃(こうはい)した場合はすみやかに森林を回復(かいふく)させることで、災害(さいがい)から地域(ちいき)の住民(じゅうみん)の生命や財産(ざいさん)を守り、また、森林の持つ機能(きのう)を十分に発揮(はっき)できるようにすることで、安全で住みよい国土の確保(かくほ)をしていくうえで必要不可欠(ひつようふかけつ)な取組です。
これまで、東京都内においても多摩地域(たまちいき)や伊豆諸島(いずしょとう)などで、台風などによる豪雨(ごうう)災害や火山噴火(ふんか)の災害などがあり、多くの治山事業に取り組んできました。
治山の主な工法紹介
山腹工
山の斜面(しゃめん)を安定させる土留(どどめ)工などの施設(しせつ)や崩壊(ほうかい)した山の斜面の植生をできるだけはやくに回復(かいふく)させるための植栽(しょくさい)工などを、崩壊地の特徴(とくちょう)に応じて配置(はいち)し、なるべく早く森林に再生(さいせい)します。
落石防止工
山の斜面などにある石が落ちてこないように固定(こてい)したり、落ちてきた石(落石)を受け止めるための施設をつくって、落石による被害(ひがい)を防(ふせ)ぎます。
落石予防工(固定工)
落石防護工
渓間工
治山ダムなどの施設の設置により、渓流(けいりゅう)の岸や底(そこ)がけずれないようにふせいだり、渓流に近い山すそ(山脚(さんきゃく))が崩れないように固定をすることで、森林が生育しやすくします。
海岸防災林・防風林
海岸において、強風による風害(ふうがい)や飛砂(ひさ)(砂が(すな)飛(と)んでいくこと)、潮害(ちょうがい)(海からの塩(しお)の害(がい)や津波高潮(つなみたかしお)による害のこと)、霧害(むがい)などを防ぐための森林を造成(ぞうせい)します。
また、波浪(はろう)や高潮などが内陸(ないりく)に入ってくることを防いだり、海岸が削れて内陸に海がせまってこないように防ぐ海岸防災林が生育しやすい状態をたもつために、必要(ひつよう)におうじて防潮護岸(ぼうちょうごがん)などを整備(せいび)します。
海岸防災林造成(遠景)
海岸防災林造成(近景)
防潮護岸工保安林整備
森林の木の密度(みつど)が高くなりすぎて暗くなったために、森林内の植物(下層(かそう)植生)がとぼしくなることで、土地(林床(りんしょう))がむき出しなり表土が流出するなど水土保全(ほぜん)の機能(きのう)が低下(ていか)した保安林を整備して、森林の機能(きのう)の回復を図ります。
※保安林とは、土砂災害(どしゃさいがい)の防止や水源(すいげん)かん養(よう)などを目的(もくてき)とした森林で、法律(ほうりつ)にもとづいて開発などを制限している森林。本数調整伐(ばつ)の実施森林の上層部(じょうそうぶ)を構成(こうせい)する木の本数を伐採(ばっさい)することで調整し、伐採後に残(のこ)った木の成長(せいちょう)を促(うなが)すとともに、林内に適度(てきど)な太陽光を入れて、森林内の植物(下層植生)が育つのをうながして、表土流出などの防止効果(こうか)を向上させます。
編柵工(あみしがらこう)斜面表土の浸食(しんしょく)などを防止するとともに、森林内の植物(下層植生)が良好(りょうこう)に生育できる環境(かんきょう)を造成します。
※『治山事業の主な工法』(農林水産省・林野庁ホームページ)を加工して作成しました。
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