収穫どきをむかえた東京の森林
東京には、約50年前に人の手で植えられた森林(人工林)が、たくさんあります。これは、戦後の経済発展(けいざいはってん)のために、建築材(けんちくざい)などの木材が多く求められるようになり、昭和30年~40年代に国の政策(せいさく)のもと、木材生産を目的とした人工林をふやすことが進められたからです。このころ、東京の山にもスギやヒノキがたくさん植えられ、長い時間をかけて育てられてきました。
そして今、東京の人工林のスギやヒノキの多くが、木材として利用できる時期をむかえていますが、多くの人工林は伐(き)られずにいます。
人工林では、木を植えたあとの手入れに、何十年もの長い時間と、多くの人手が必要です。その手入れにかかる費用は、木材を売ったお金でまかないます。しかし、外国から安い木材が大量に輸入されるようになると、国内の木材価格(かかく)が下がり、木を植えて手入れをしていく費用を準備(じゅんび)することができなくなりました。
このため、木材として利用できる時期がきても、伐られない人工林がふえているのです。
出典:「平成16年度 森林・林業白書」「スギ花粉動態調査平成元年度報告書」(林野庁)
スギは植えてから30年をこえると雄花(おばな)をたくさん付けるようになるため、作られる花粉の量もふえていきます。 東京の人工林にあるスギの多くは、植えてから50年以上たっているため、花粉の量も多くなっています。
また、成長がさかんな若いスギは、二酸化炭素(にさんかたんそ)をたくさん吸収(きゅうしゅう)しますが、木を植えてから30年以上たつと二酸化炭素を吸収する量がへります。