東京の木・森のしごと

3-7 森林と自然災害

三宅島みやけじま噴火ふんか災害さいがい平成へいせい12年(2000年)発生]

01_噴煙を上げる雄山の写真

三宅島
東京から南やく180kmに位置(いち)する島。
面積(めんせき)55km2、周囲(しゅうい)38km

三宅島位置図
「この地図の作成にあたっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を使用した。
(承認番号 平30情使、第920号)」

火山活動
島の中央に位置する雄山(おやま)は一定の期間ごとに活動をくりかえす活火山で、近年では昭和15年(1940年)、昭和38年(1963年)、昭和58年(1983年)に噴火しています。
直近の平成12年の火山活動は、火山性ガス放出などの影響(えいきょう)で、全島民(ぜんとうみん)が4年以上(ねんいじょう)にわたって島の外に避難(ひなん)することになりました。全島民の避難は、平成17年2月1日に解除(かいじょ)されました。

森林における主な被災ひさい

噴火(降灰こうはい

平成12年の噴火災害で、一番大きな噴火は平成12年8月18日に発生し、噴煙(ふんえん)の高さは14,000mになりました。火山灰(かざんばい)が木のえだや葉にくっついて、その重みで木の幹(みき)がおれたり、葉がかれたりしました。

02_噴煙を上げる雄山2の写真三宅島雄山噴火の写真

03_泥流被害の写真降雨(こうう)により発生した泥流被害(でいりゅうひがい)

泥流でいりゅう

山の斜面に細かい火山灰が多くふりつもり、その後数年間は、大雨のたびに泥流がくりかえし発生しました。島内の多くの沢(さわ)から泥流が流れ出し、道路や家などの多くの建物(たてもの)に大きな被害をあたえました。

火山性かざんせいガス(主に二酸化硫黄にさんかいおう)の放出

火山性ガスの放出は、噴火後10年以上つづきました。10ppm以上の濃度(のうど)の火山性ガスが、1番多い時で1日あたり10万トン放出されました。高い濃度の火山性ガスが長期間にわたって放出されることで、島全体の森林が大きな被害をうけました。噴火から18年経過(けいか)した平成30年現在(げんざい)は、火山性ガスの放出はほとんどなくなりました。

04_火山性ガス被害の写真火山性ガスによりたちがれた森林(集落に近い雄山の山すそ)

05_火山性ガス森林被害の写真火山性ガスによりたちがれた森林

森林被害

(三宅支庁ホームページを元に一部修正(しゅうせい)しました。)

長期継続的(けいぞくてき)な火山性ガスの放出の影響などにより、島の森林の6割(わり)にあたる約2,500haが被害を受けました。とくに、雄山の中腹(ちゅうふく)から山頂(さんちょう)にかけての森林は非常(ひじょう)に大きな被害を受けており、立ったままかれた木があたり一面に広がりました。

金曽沢かなそざわについて

三宅島は西から風が吹(ふ)くことが多く、雄山の東に位置する金曽沢は風下になります。このため、火山性ガスの影響を非常に受けやすく、森林は大きな被害を受け、回復(かいふく)も遅(おく)れていました。平成16年から復旧のための治山事業をはじめ、平成25年からは景観(けいかん)への配慮(はいりょ)した治山事業を開始しました。比較的(ひかくてき)軽く、火山性ガスの影響を受けにくい、木製構造物(もくせいこうぞうぶつ)を治山事業に取り入れました。火山性ガスの放出がほとんどなくなってからは、山の斜面に草本植物だけでなく木本植物の回復も見られるようになりました。

金曽沢治山事業(平成30年現在)

  • 工事期間:平成16年~
  • 工事概要
    山腹工:筋工2300m・伏工4800m2・水路工400m
    渓間工:治山ダム3基

12_工事後緑回復状況の写真三宅島金曽沢地区で施工後(せこうご)数年経過(けいか)した、緑化が進んでいる写真