「子どもが関心をもてるような写真を見せます。」
授業当時、とても話題になっていた若手とベテランの将棋棋士の対局シーン、東京都23区内唯一にして自分たちの身近にある等々力渓谷、新国立競技場、森林の中にいるカモシカ、有名なCMのこの木なんの木の写真…。
これらの写真を次々と提示し、子どもに共通点を問い、だんだんと気付かせていきます。
そして、森林の学習をすることをつかませます。
「身の回りでどんなものに木が使われている?」
と発問することで、木をグッと身近にひきつけさせます。
すると、えんぴつも木だし、消しゴムのケースも、机もイスも…。
普段あまり気にしていないだけで、いろいろなところに木は使われていることに気付きます。
「周りを見れば木だらけで、思った以上に木に囲まれているんだね、身近にあったんだね」というように、実感として自分ごとになっていきます。
「身近な木だけど、日本にはどれだけ森林が広がっているのだろうね?」
と、視点を広げてランドサットの衛星写真で日本の森林の様子を視覚的につかんだり、森林率を調べたりして、国土の67%も森林に囲まれ、日本は世界3位の森林大国であるという事実に驚きます。
また、その森林は同じように見えても、天然林と人工林という違いがあり、その違いを簡単に確かめます。
「みんなにも、森林に入った感覚を味わってもらうね。」と伝え、目をつぶって手を差し出すように声をかけます。
ここで取り出したのが、「木の輪切り」。林業家の方に相談して、送っていただいた天然の切り立てホヤホヤのヒノキを全員の手に1個ずつ握らせます。
「さあ、目を開けてごらん」
目を開けた瞬間、「おーー!すごい!良いにおい!!」「つるつるで、気持ちいい!」と、たった1個の輪切りの木で大変な盛り上がりとなります。
香りを嗅いだり触ったり、実際に森林に行かなければ分からない感覚を、授業の中でたっぷり味わいます。
「日本人はこのようにして、木とどれくらい前から親しんできたんだろうね?」
予想して資料で調べると、ずっと昔、なんと縄文時代から使っているということが分かったのです。
木に浸かり、感覚で味わい、人と木の関係の歴史を知ることで、自分たち日本人は森林と深くかかわってきたことを実感し、中で身近さを感じながら、木や森林に大きな関心を向かせることからスタートします。